改訂新版 世界大百科事典 「カメハメハ3世」の意味・わかりやすい解説
カメハメハ[3世]
Kamehameha Ⅲ
生没年:1814-54
ハワイ王国カメハメハ王朝第3代の国王。カメハメハ大王の息子で,前王カメハメハ2世の弟に当たる。前王の死去に伴って即位し,その治世(1825-54)はほぼ30年にわたり,ハワイ王国歴代諸王の中で最も長い。ハワイが立憲王国となり,代議制の国会が開設されたのは彼の治世においてである。1840年に憲法を発布し,45年には首都をホノルルに定めた。立法,行政,司法の諸制度を整備して近代国家の体裁を整え,従来国王の独占にゆだねられていた土地所有の権利を人民一般に解放した〈大マヘレ〉(マヘレはハワイ語で〈分割〉の意)を断行したのも彼である。当時盛況をきわめた太平洋捕鯨の機運に応じて,ハワイの捕鯨関連産業を振興し,王国の経済的基盤を固める一方,対外的にも英・米・仏の列強からハワイ王国の承認をとりつけるなどの事績を残した。
執筆者:石川 栄吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報