日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホノルル」の意味・わかりやすい解説
ホノルル
ほのるる
Honolulu
アメリカ合衆国、ハワイ州、オアフ島南東岸に位置する同州最大の都市で、州都。人口39万6780(2014年推定)。海岸とコーオラウ山脈の間の平野部に立地し、平均気温24.7℃、年降水量629ミリメートルと常夏の温暖な気候に恵まれる。地名はポリネシア語で「保護された湾」の意。州人口の約2分の1が同大都市圏に集中し、政治・経済・文化の中心地として発展する。また、世界有数の観光地として知られる。「太平洋の十字路」と別称される空・海交通の要衝であり、船舶・航空機の中継地としての役割を果たし、とくに、近年観光客の出入りが激しいダニエル・K・イノウエ国際空港(旧、ホノルル国際空港。2017年4月改称)は、多くの航空会社が入り、国内有数の国際空港に成長している。パール・ハーバー(真珠湾)を含めた7か所の軍事基地の存在は重要な経済的支柱であるが、近年は観光業がこれを上回り、2017年の観光客数は州全体で940万4346人に上っている。そのほか、温暖な気候を利用して近郊で栽培されるサトウキビ、パイナップルなどの加工・缶詰業が盛んである。
1794年にホノルル湾が発見され、1816年に町が開かれた。1845年にはハワイ王朝の首都となり、ビャクダンやクジラの交易地として繁栄した。1898年に合衆国に併合され、1959年のハワイ州成立とともに州都となる。第二次世界大戦では太平洋の戦略基地としての役割を果たした。日本軍による真珠湾奇襲はよく知られている。ホノルル市の住民構成は多様で、白人を筆頭に日系、ついでフィリピン系、中国系、ポリネシア系と人種のるつぼを形成し、それぞれの風俗・習慣が溶け合った独特の雰囲気をもつ。色とりどりのレイやムームー姿もなじみ深い。大学もこの特色が生かされた学科を多く開設し、ハワイ大学(1907年創立)のイースト・ウェスト・センター(1960)はアメリカ、ヨーロッパだけでなく、アジア、太平洋地域からも学生が多く集まり、東西文化研究の中心機関として重要な役割を負っている。市内は道路が整備され、つねにカラフルな花や豊かな緑に囲まれている。中心となるダウンタウンは高層ビルが林立し、22キロメートルに及ぶワイキキ・ビーチ沿いにはホテルや商店が建ち並んでいる。そのほか、ハワイ王朝の宮殿として使用されたイオラニ宮殿(1882年建設)、ポリネシアの民族資料を集めたビショップ博物館、リリウオカラニ女王Liliuokalani(1831―1917、在位1891~1893)の使った邸宅ワシントン・プレイス、カピオラニ公園、国立墓地のあるパンチ・ボール、ダイヤモンド・ヘッドなど、ダウンタウンから短時間で行ける観光・行楽地が多く、インターナショナル・マーケット・プレースやアラ・モアナ・ショッピング・センターは買い物客には楽しい場所である。
[作野和世]