日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラベル」の意味・わかりやすい解説
カラベル
からべる
Caravelle
フランスのシュド・アビアシオン社(現在のアエロスパシアル社)が生産した短距離路線用双発ジェット旅客機。快走帆船の意味で、1955年4月21日完成、同年5月27日初飛行した。当時、ジェット旅客機は経済性の関係から長距離路線にしか使用できないと考えられていたのを、中・短距離路線でも十分使用できることを実証するとともに、2基のエンジンを尾部に取り付けるという画期的な配置を世界に先駆けて採用した点が特徴である。最終生産型の12型を例にとると、全幅34.3メートル、全長36.2メートル、翼面積146.7平方メートル、最大重量58トン、最大乗客数118人、最大時速810キロメートルといったデータをもっている。
尾部エンジン装備方式は、ジェットエンジンの特徴を最大限に生かしたもので、その後につくられた民間用双発ジェット機の標準方式となり、これを初めて採用したカラベルは航空史に残る名機と評価されている。しかし、設計の時点が早かったため、ライバル機が輩出するようになると、しだいに旧式化が目だち始め、72年末、279機をもって生産を終了した。
[落合一夫]