カルメル山遺跡(読み)カルメルさんいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルメル山遺跡」の意味・わかりやすい解説

カルメル山遺跡
カルメルさんいせき

イスラエル北西部,カルメル山にある洞窟遺跡群。山の南西腹の涸れ谷(ワディ)の一つ,ワディ・エル・ムガラ付近は石灰岩地帯で,洞窟が点在する。1930年代,イギリスのドロシー・A.E.ギャロッドらの調査により,前期旧石器時代から中石器時代にいたる数多くの遺物が発見され,この地域の石器時代文化の大要が明らかにされた。タブーン洞窟(→タブーン遺跡)と,数百mほどしか離れていないスフール洞窟(→スフール遺跡)からはネアンデルタール人の化石人骨(→カルメル山化石人骨)が見つかった。中期旧石器時代の遺物を伴い,3万~5万年前のものと考えられている。また近くのワド洞窟では,後期旧石器時代・中石器時代の豊富な遺物が層位的に確認され,この地域の基準遺跡となっている。2012年世界遺産の文化遺産に登録された。

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