日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガンゾウビラメ」の意味・わかりやすい解説
ガンゾウビラメ
がんぞうびらめ / 雁雑鮃
雁瘡鮃
cinnamon flounder
[学] Pseudorhombus cinnamoneus
硬骨魚綱カレイ目ヒラメ科に属する海水魚。本州の中部から黄海、東シナ海、南シナ海にかけて分布する。口は大きく、目の中央部下方まで開く。歯は小さく、無眼側の下あごに20本ほど存在する。鱗(うろこ)は有眼側では櫛鱗(しつりん)、無眼側では円鱗。体は緑褐色で、側線の湾曲部と直走部の境に明瞭(めいりょう)な眼状斑(はん)がある。また、体に多数の眼状斑をもつ個体もある。日本からタイワンガンゾウビラメ、タマガンゾウビラメ、メガレイ、ナンヨウガレイなどの7種の近縁種が知られているが、前記の特徴で容易に区別できる。
水深30メートル以浅の砂地に生息し、甲殻類、魚類、多毛類などを食べる。産卵期は3~11月で、海域によってかなり違いがみられる。1年で18センチメートル、3年で28センチメートル、5年で33センチメートル、最大で体長35センチメートルぐらいになる。底引網、刺網(さしあみ)、手繰(てぐり)網などで漁獲される。煮つけにすると美味である。
[尼岡邦夫]