精選版 日本国語大辞典 「手繰」の意味・読み・例文・類語
て‐ぐり【手繰】
- 〘 名詞 〙
- ① 糸などを手で自分の方へ順に少しずつ引きよせること。手でくりとること。また、そのもの。たぐり。
- [初出の実例]「夏引の白糸のてくりまだしきに夜は短く成にける哉」(出典:曾丹集(11C初か))
- ② つぎつぎと手から手へ物を受け渡して運ぶこと。順繰りに手渡しすること。
- [初出の実例]「間鍋塩辛壺を、手ぐりにしてあげさせ」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)一)
- ③ 仕事、用事などさしつかえをやりくりすること。仕事のくりあわせ。都合。
- ④ 「てぐりあみ(手繰網)」の略。また、それを用いて漁をすること。
- ⑤ 「てぐりぶね(手繰船)」の略。
- [初出の実例]「両国橋に手ぐり漕ぐ身も顔のうるむ頃」(出典:浮世草子・好色万金丹(1694)二)
- ⑥ 「てぐりいと(手繰糸)」の略。
た‐ぐり【手繰】
- 〘 名詞 〙
- ① たぐること。手もとに繰りよせること。また、その用具。
- [初出の実例]「磯に手ぐりのくりやかは波にゆらるるつり舟に」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)道行)
- ② 「たぐりぶね(手繰船)」の略。
- [初出の実例]「両国橋に手ぐり漕ぐ身も顔のうるむ頃」(出典:浮世草子・好色万金丹(1694)二)