知恵蔵
「ガンマダッシュ」の解説
ガンマダッシュ
日本人で初めてノーベル物理学賞を受けた湯川秀樹が受賞研究の中間子論を口頭発表する直前、書き残していた謎めいた文字。湯川生誕100年に当たる2007年に家族が公表した本人の個人日記に、1934年10月9日から12日までの4日間、“γ´ray”(rayは線のこと)という言葉が連続して登場する。湯川はこのころ、原子核内で陽子や中性子を結びつける核力の仲立ちとして未知の粒子を想定する決断をしたとみられることから、この粒子を仮にγ´と呼んだのではないかという見方がある。20年代末に完成した「場の量子論」で、電磁気力は、光の粒である光子が仲介することがはっきりした。光子は、広義の光であるガンマ線(γ ray)にちなんで「γ」で表すことが多いので、核力の仲介役を「光子もどき」の「γ´」としたのではないかという推理も成り立つ。中間子論は翌月に学会発表されたが、そこでは、この文字は使われていない。ダッシュは「´」の日本語読みで、英語ではプライム。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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