キショウブ(読み)きしょうぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キショウブ」の意味・わかりやすい解説

キショウブ
きしょうぶ / 黄菖蒲
[学] Iris pseudacorus L.

アヤメ科(APG分類:アヤメ科)の多年草。ヨーロッパ原産で明治中期に渡来した。茎は高さ0.6~1メートル、根茎は強く、横走し、アヤメ類より節間が長く、枯葉繊維は少ない。葉は幅広で直立し、1メートル以上に伸び、やや粉白で中央脈とともに葉脈も多く平滑でない。よく分枝し、花弁の細い黄や白色の花をつける。よく結実し、水辺に繁茂し、野生化して各地で害草となっている。黄色系のハナショウブ第一号として有名な「愛知の輝(かがやき)」はキショウブ交配種である。八重咲き種は雄しべ雌しべは弁化して結実せず多花性。

[吉江清朗 2019年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キショウブ」の意味・わかりやすい解説

キショウブ(黄菖蒲)
キショウブ
Iris pseudacorus; yellow flag; water flag

アヤメ科の多年草。ヨーロッパ原産であるが,日本には明治年間に渡来し各地に栽培され,また逸出して各地の溝などに帰化状態になっている。葉は剣形,長さ 60cmに及ぶ。花茎は 1m内外で,黄色の外花被片3枚は大きく円形に近い。内花被3枚は小型,子房は三角形,花後多数の扁平な種子を含む。クリーム色,八重咲きなどの園芸品種もある。

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