花菖蒲(読み)ハナショウブ

デジタル大辞泉 「花菖蒲」の意味・読み・例文・類語

はな‐しょうぶ〔‐シヤウブ〕【花××蒲】

アヤメ科ノハナショウブから改良した園芸種。葉は剣状で中脈が隆起する。5、6月ごろ、紫色・白色・絞りなどの大きな花を開く。江戸時代から改良が始まり、品種が多い。栽培地は4~9月に水があり、他は乾く所が適する。しょうぶ。 夏》「紫のさまで濃からず―/万太郎
[類語]菖蒲あやめ杜若かきつばた菖蒲しょうぶ

はな‐あやめ【花菖蒲】

アヤメ別名
かさねの色目の名。表は白、裏は萌葱もえぎ。夏に用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「花菖蒲」の意味・読み・例文・類語

はな‐しょうぶ‥シャウブ【花菖蒲】

  1. 〘 名詞 〙 アヤメ科の多年草。ノハナショウブの栽培変種。観賞用に水辺湿地に栽培され品種が多い。高さ〇・六~一・二メートル。葉は線形、剣状でアヤメに似るが中肋(ちゅうろく)が著しい。初夏、花茎の頂に大きな花をつける。六枚の花被のうち外側の三片は大形で垂れ、内側の三片はさらに大きくなることが多いが、垂れ下がることはない。花色は紫・白・絞りなど品種によって異なる。はなそうぶ。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「五月五日。中そんに花しゃうぶをたつる」(出典:仙伝抄(1445))
    2. 「花菖蒲津田の細江の便かな」(出典:俳諧・青蘿発句集(1797)贈答)

花菖蒲の語誌

( 1 )「広本拾玉集‐二」に「野沢がた雨ややはれて露おもみ軒によそなる花あやめかな」と詠まれたのはハナショウブの前身のノハナショウブであるといわれる。アヤメは野沢潟のような湿地ではなく乾いた土地に生えるからである。
( 2 )ノハナショウブは改良を重ねられ、「花壇綱目」(一六六四)では六品種であったハナショウブが「増補地錦抄」(一七一〇)では約四〇品種までにふえている。享和年間(一八〇一‐〇四)には江戸葛飾に堀切菖蒲園が開園され、菖蒲見は下町の人々の風流となった。
( 3 )一方で「花伝集」(一六二八)あたりからアヤメ科のアヤメが出現して、ハナショウブとの混同が生じた。


はな‐あやめ【花菖蒲】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物あやめ(菖蒲)」の異名。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「のざはがた雨ややはれて露おもみ軒によそなる花あやめかな」(出典:広本拾玉集(1346)二)
  3. (かさね)色目。表は白、裏は萌葱。夏に用いる。〔藻塩草(1513頃)〕

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動植物名よみかた辞典 普及版 「花菖蒲」の解説

花菖蒲 (ハナショウブ)

学名Iris ensata
植物。アヤメ科の多年草,園芸植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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