キバガ

改訂新版 世界大百科事典 「キバガ」の意味・わかりやすい解説

キバガ (牙蛾)

鱗翅目キバガ科Gelechiidaeに属する昆虫総称口吻こうふん)の基部後方の両側から出る1対の下唇鬚(かしんしゆ)が,きば状に突出しているのでこの名がある。全世界に分布する小型のガで,日本には75種知られている。イモキバガ(サツマイモ,ヒルガオ),ジャガイモキバガバレイショナス,トマト,タバコ,トウガラシ,ホオズキ),バクガ穀類)のように,幼虫が重要な害虫とされているものを含んでいる。葉を巻いて食べるもの,新梢頭葉を糸で束ねて食べるもの,葉に潜入するものなど加害のやり方はさまざまである。成虫は夜行性で,よく灯火に飛来する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キバガ」の意味・わかりやすい解説

キバガ
きばが / 牙蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目キバガ科Gelechiidaeの昆虫の総称。はねの開張10~20ミリメートルくらいの小形種を含む大きい科で、全世界に分布し、日本からは約80種が知られている。下唇鬚(かしんしゅ)が牙(きば)状に突出しているので、その特徴が科名となっているが、ほかの小ガ類にも同じような特徴を示す種は少なくない。はねは細長く、前翅が細長い四辺形の種が多い。ほとんど夜行性で、灯火に飛来する。幼虫のなかには、農林業上きわめて著名な害虫があり、なかでもジャガイモキバガ(ジャガイモのほかナス科の害虫)、バクガ(イネ、ムギ、トウモロコシの害虫)、ワタアカミムシガワタのほかオクラなどアオイ科の害虫)などは、世界的にみても著名な害虫で、熱帯圏を中心に広がり、日本にも侵入し、土着している。そのほかイモキバガは、サツマイモ畑に発生して、かなりの害を与えることがある。

[井上 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キバガ」の意味・わかりやすい解説

キバガ
Gelechiidae; gelechiid moth

鱗翅目キバガ科の昆虫の総称。小型のガで一般に翅は細長く,長い縁毛がある。触角は糸状で長く,前翅長を越えるものもある。下唇鬚も非常に長く,湾曲して上方に向き,牙状となって頭上に突出するためその名がある。幼虫は葉を綴るもの,茎や種子,根などに穿入するもののほか,葉にもぐるものや筒をつくるものなどもある。世界に 3700種以上が知られ,日本産は 70種以上。ワタの重要害虫であるワタアカミムシガ Pectinophora gossipiella穀物に害を与えるバクガ Sitotroga cerearella,ジャガイモの葉を食害するジャガイモガ Phthorimaea operculellaなどは本科に属する。

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