改訂新版 世界大百科事典 「バクガ」の意味・わかりやすい解説
バクガ (麦蛾)
Angoumois grain moth
Sitotroga cerealella
鱗翅目キバガ科の昆虫。開張1.3~1.7cm。翅は細長く,縁毛は後翅では翅より長い。淡黄色で,前翅に1~2個の暗色紋をもつことがある。ほとんど全世界に分布する。年1回発生の地域もあるが,温暖地では年に5~6回発生するところもあり,24時間暖房の家屋や倉庫では,年中発生が続く。初夏に畑の麦穂に産卵し,麦粒に食入した幼虫は,納屋や倉庫内で成長する。ガは屋内でも産卵し,もみ米や玄米などを数粒集めてつづり食害する。トウモロコシの実に穴を開けて食害することもある。穀粒に食入するときは1匹ずつ入り,2匹以上同じ粒に入ることはない。老熟すると穀粒の中に絹糸状の繭をつくって蛹化(ようか)する。成虫は穀粒の穴から羽化する。冬は幼虫態で休眠するが,寒さがきびしければ死んでしまう。貯蔵穀物の害虫とされ,屋内で発生することが多いが,イネ科の雑草にもつくことがあるし,ゴボウの種子なども食害する。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報