日本大百科全書(ニッポニカ) 「キバナノコマノツメ」の意味・わかりやすい解説
キバナノコマノツメ
きばなのこまのつめ / 黄花駒爪
[学] Viola biflora L.
スミレ科(APG分類:スミレ科)の多年草。全体に柔らかく、茎は斜め上に伸び、3、4枚の葉がまばらにつく。葉は扁円(へんえん)状心臓形、長さ1、2センチメートル、幅1.5~3.5センチメートル、縁(へり)の短毛が目だつ。托葉(たくよう)は狭卵形、全縁で緑色。花は5~7月に開き、黄色で下弁に紫色の筋(すじ)があり、上の4弁は上向きに反り返って開き、下弁は他よりも大きく、距(きょ)は短い半球形。北半球の寒冷な草地に分布する。日本の高山帯の礫地(れきち)には、これに似るが全体が硬く、無毛で葉に光沢があるタカネスミレV. crassa Makinoが分布する。日本周辺地域のほかチベットにも分布するといわれる。
[橋本 保 2020年7月21日]