キョセムスルタン(その他表記)Kösem Sultan

改訂新版 世界大百科事典 「キョセムスルタン」の意味・わかりやすい解説

キョセム・スルタン
Kösem Sultan
生没年:1589ころ-1651

オスマン帝国第14代スルタンであるアフメト1世(在位1603-17)の妃。またスルタンのムラト4世およびイブラヒムの生母でもある。ギリシア系の女性で通称〈マフペイケルMahpeyker〉(美貌,魅力的の意)。権力志向型の女性で,自己の子息たちのスルタン在位中は摂政として絶大な権勢ふるい,彼女を頂点とするハレムの政治介入は有能な吏僚を追放しその生命を奪った。収賄国政を乱し浪費は国家財源を枯渇させた。またイブラヒムの治世に,クレタにおいてはベネチアとの間に果てしない戦闘が続き国運を傾けた。ハレム勢力の交替とともに彼女は失脚政敵により暗殺された。
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関連語 三橋

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キョセムスルタン」の意味・わかりやすい解説

キョセム・スルタン
Kösem Sultan

[生]1585頃
[没]1651.9.2.
オスマン帝国の執政権を 40年間握った皇后。ムラト4世,イブラヒム1世の母。幼名アナスタシア。ギリシア人の教父の娘として生れたが,幼くして孤児となり宮廷に売られ,15歳でアフメット1世の妃となる。息子ムラトが帝位につくと政治権力を握り,次に即位したムラトの弟イブラヒムを狂気を理由に退位させると,7歳の孫メフメット4世を帝位につけ,その後見人として宮廷政治を支配し続けた。 1651年メフメット4世の母トゥルハンとの争いに敗れ,暗殺された。

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