後見人(読み)コウケンニン(その他表記)guardian

翻訳|guardian

デジタル大辞泉 「後見人」の意味・読み・例文・類語

こうけん‐にん【後見人】

法律上、親権者のない未成年者成年被後見人財産管理身上監護などを行う人。未成年者の場合は、最後親権を行う者が遺言指定し、指定がなければ家庭裁判所が選任する。→成年後見人
一般に、ある人の背後にいて、その補佐世話をする人。

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精選版 日本国語大辞典 「後見人」の意味・読み・例文・類語

こうけん‐にん【後見人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 後見をする人。ある人の背後にいて、その世話をし助ける人。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. 後見[ 一 ]の事務を、直接行なう者。未成年者の場合には親権者が遺言で指定した者、成年被後見人の場合には家庭裁判所の選任による。
    1. [初出の実例]「故に後見人幼者に属したる動産を売るに付ては」(出典:仏国政典(1873)〈大井憲太郎訳〉三)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「後見人」の意味・わかりやすい解説

後見人
こうけんにん
guardian

後見の事務を行なう者。(1) 未成年者については,親権者であった者により遺言で指定された者が未成年後見人になる(民法839)。この者がいないときは,家庭裁判所が未成年者またはその親族,その他の利害関係人の請求によって,未成年後見人を選任する(840条1項)。未成年後見人がある場合でも,家庭裁判所が必要があると認めるときは,さらに未成年後見人を選任することができる(840条2項)。(2) 成年後見(→成年後見制度)においては,かつては成年被後見人の配偶者が後見人になるとされていた(1999改正前民法840)。しかし,その配偶者も高齢で,後見人としての職務遂行が困難である場合が多かった。そのため今日では,家庭裁判所が後見開始の審判をするときに,職権で成年後見人を選任する(民法843条1項)。成年後見人も,複数人となることがある(843条3項)。後見人は,未成年者または成年被後見人のため,被後見人の財産を管理し,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する(859条)。そのほか,成年被後見人の後見人には,療養看護の義務がある(858条)。(3) 任意後見制度においては,家庭裁判所によって任意後見監督人(→後見監督人)が選任されたときから,任意後見人の職務が開始される(任意後見契約に関する法律2条4号)。任意後見人は,本人意思を尊重し,かつ,その心身状態および生活状況に配慮しなければならない(6条)。

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百科事典マイペディア 「後見人」の意味・わかりやすい解説

後見人【こうけんにん】

後見の事務を直接行う者。未成年者後見においては,親権者(親権を参照)が遺言で指定した者が未成年後見人(指定後見人)となり,これらの者がないときは,家庭裁判所が被後見人の親族その他の利害関係人の請求によって選任する(選定後見人)。未成年後見人は1人に限る。〈後見開始の審判があった者〉(1999年改正以前の呼称は禁治産者)の後見においては,家庭裁判所が職権で成年後見人を選任する(複数人も可)こととされ,配偶者が当然後見人となる旨の従来の規定は削除された。法人も成年後見人となることができる。未成年者の後見人は監護教育の権利義務をもち,〈後見開始の審判があった者〉の後見人は身上看護の義務をもつほか,後見人は一般に被後見人の財産を管理し,財産上の行為につき被後見人を代表する。
→関連項目成年後見制度法定代理人保佐人無能力者

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「後見人」の意味・わかりやすい解説

後見人
こうけんにん

未成年者(管理権をもつ親権者がいない場合)、成年被後見人、被保佐人被補助人、任意後見契約における委任者の保護のために付される者をいう。それぞれ未成年後見人、成年後見人、保佐人、補助人、任意後見人とよばれる。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内の後見人の言及

【禁治産者】より

…このような者を社会生活の犠牲にすべきでないとして,フランス民法上の禁治産制度(1968年に改正されるまでの489条以下)にならって設けられたのが,この制度である。日本法上では,正常な意識回復時の本人,配偶者,4親等内の親族,後見人,保佐人,検察官のいずれかからの申立てに基づき,家庭裁判所が医師その他適当な者に鑑定させたうえ必要と認めればその宣告をする(手続の詳細は家事審判法および家事審判規則参照。1975‐79年の例によると,毎年600件前後の申立てがあり,その2/3程度が認容されている)。…

【後見】より


[未成年後見]
 日本の民法では,未成年者の親が親権者となり未成年者を保護するのが原則である。しかし,未成年者に親がいないとき,または,親があっても親権喪失や親権行使不能のため保護の任務を果たすことができないときには,後見が開始し(民法838条1項),親権者の役割を代行する後見人がおかれる。このように後見は親権を補充する制度であるから,後見の内容は親権に準じ,ただ,後見人には親のような無私の愛情を期待するのが無理であるから,親権の場合と違って後見監督の制度がおかれているのである。…

※「後見人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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