キルカエアステル(英語表記)Circaeaster agrestis Maxim.

改訂新版 世界大百科事典 「キルカエアステル」の意味・わかりやすい解説

キルカエアステル
Circaeaster agrestis Maxim.

中国南西部からヒマラヤ地方に分布する小型の一年草で,1属1種よりなるキルカエアステル科Circaeasteraceaeがもうけられている。双子葉植物。胚軸宿存,伸長して長さ数cmとなり,子葉も宿存し,その上に多数の根生葉と花茎を叢生(そうせい)するという特異な形態を有する。根生葉はロゼット状で葉身は倒卵形,基部はくさび形で葉柄に移行し,合わせて長さ0.5~2.5cm。葉には中脈がなく,葉脈は二叉(にさ)分岐をすることも特異である。花茎は根生葉よりも短く,葉をつけず,1個の小型の花を頂生する。萼片は2~3枚,花弁はなく,おしべは1~3本,めしべは1~3本で,熟すと瘦果(そうか)となる。退化の著しい植物で類縁がはっきりしない。ふつうキンポウゲ科に近いとみなされ,しばしばキンポウゲ科に含められるが,センリョウ科に近いという意見もある。中脈がなく,二叉分岐する葉脈をもつ被子植物としては,他に,中国西部に産するキンポウゲ科のキングドニアKingdonia unifloraがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキルカエアステルの言及

【被子植物】より

…裸子植物の葉脈では,イチョウのように二叉(にさ)分岐することが多く,葉跡は1本の場合をのぞけば偶数である。しかし,被子植物でも,キングドニアKingdoniaやキルカエアステルCircaeasterのように,二叉分岐する葉脈と偶数の葉跡をもつものもあり,原始的とみなされる。(5)有性生殖のための構造として,花をつける。…

※「キルカエアステル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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