改訂新版 世界大百科事典 「ギンヨウジュ」の意味・わかりやすい解説
ギンヨウジュ
silver tree
Leucadendron argenteum R.Br.
南アフリカ原産のヤマモガシ科の常緑高木で,銀白色の葉が木全体に密につき美しい。現地などでは庭園木として利用されているが,日本では夏季に雨が多いため,根が腐りやすく育てにくい。葉は披針形で両面に絹状の短毛が密生し,長さ約7cm,幅約2cmで葉柄がなく枝に密着する。乾燥地に育っているため葉質はかたく,また落ちにくい性質があるので,古い葉が枝の基部にまで残り,木全体が葉におおわれる。雌雄異花,マツの球果状で径3~5cmの頭状花をつけ,黄白色である。苞の質はかたい。種子は有翼。繁殖は一般には実生によるが,挿木も可能である。乾燥を好むので,用土は排水のよいものが適する。冬は保温を必要とするが,特に高温でなくともよく,灌水を控え乾き気味にする。夏季には土および空気の多湿を避けるように心がける。冷涼地の方が衰弱しにくく夏越えは楽である。
ギンヨウジュ属Leucadendronは南アフリカに約70種あり,美しい樹木種が多いが,栽培はむずかしい。
執筆者:古里 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報