クチキムシ(読み)くちきむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クチキムシ」の意味・わかりやすい解説

クチキムシ
くちきむし / 朽木虫
[学] Allecula melanaria

昆虫綱甲虫目クチキムシ科に属する昆虫。日本各地に分布し、体長10ミリメートル前後。細長く黒褐色でかなり光沢があり、触角や脚(あし)などは赤褐色、上ばねには縦溝がある。朽ち木の皮下や落葉下などにおり、一年中みられる。

 クチキムシ科Alleculidaeは、世界各地に分布し、熱帯域に多く、1100種以上が知られ、日本には30種余が産する。体長4~20ミリメートル、細長い種や卵形の種もあるが、多少とも紡錘形ないし舟形が普通。触角は糸状、まれに櫛(くし)状。脚は細く、跗節(ふせつ)は5節で後肢だけ4節、つめには櫛状に歯がある。色彩は一般に単調で、多くは赤褐色ないし黒色、ときにキイロクチキムシCteniopinus hypocritaのように鮮黄色のものや黄赤色のものがある。オオクチキムシA. fuliginosaなどはクチキムシ同様に朽ち木や落葉下にいるが、アカバヒメクチキムシHymenalia rufipennisは樹葉上に、フナガタクチキムシIsomira oculataは花上にみられ、クロホシクチキムシPseudocistela haagi灯火にくる。

[中根猛彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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