日本大百科全書(ニッポニカ) 「クニャジュニーン」の意味・わかりやすい解説
クニャジュニーン
くにゃじゅにーん
Яков Борисович Княжнин/Yakov Borisovich Knyazhnin
(1740―1791)
ロシアの劇作家。官吏の家庭に生まれ、自らも文官、ついで武官として勤務する。軍役にあったとき公金横領の罪に問われ、貴族の身分と将校の位を奪われる。のち許されて、士官学校でロシア文学を講ずるかたわら、スマローコフの影響のもとで創作活動を始めた。その作風には啓蒙(けいもう)的古典主義の色彩が強く、専制君主に反抗した自由都市の英雄を主人公とする『ノブゴロドのワジム』(1793)など8編の悲劇、『変人たち』(1790)をはじめとする3編の喜劇、『蜜湯(スビーテン)売り』(1783)を含む6編の喜歌劇などおびただしい作品がある。
[中村喜和]