日本大百科全書(ニッポニカ) 「クメン法」の意味・わかりやすい解説
クメン法
くめんほう
cumene process
クメン(イソプロピルベンゼン)を原料として、フェノールとアセトンとを同時に得る方法。クモール・フェノール法ともいう。プロピレンとベンゼンとをリン酸または塩化アルミニウムなどの触媒下で反応させ、得られるクメンを空気酸化してクメンヒドロペルオキシドとし、次にこれを硫酸、リン酸などの希酸と加温すると、容易に分解して目的物が生成する。フェノールの合成法には、ベンゼンのスルホン化のあとアルカリ溶融する、塩素化ののち加水分解する、またはシクロヘキサンからシクロヘキサノールを経て脱水素する、など各種の在来法が多いが、クメン法は経済性などの優位さのために世界的に主流となっている。
[松田治和]