クメン(読み)くめん(英語表記)cumene

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クメン」の意味・わかりやすい解説

クメン
くめん
cumene

芳香族炭化水素の一つ。イソプロピルベンゼンクモールともいう。ヒメウイキョウCuminum cyminumから得られる精油であるクミン油から得られるのでこの名がある。工業的にはベンゼンプロピレンフリーデルクラフツ反応させて製造される。水には不溶であるが、各種有機溶剤には溶ける。かつては高オクタンガソリンの配合剤としても用いられた。またクメン法によるフェノールアセトン製造の合成原料。また、アセトフェノンやα(アルファ)-メチルスチレンの合成に用いられる。

[向井利夫]


クメン(データノート)
くめんでーたのーと

クメン

 分子式 C9H12
 分子量 120.2
 融点  -96.02℃
 沸点  152.39℃
 比重  0.8620(測定温度20℃)
 屈折率 (n) 1.49145

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クメン」の意味・わかりやすい解説

クメン
cumene

クモール,イソプロピルベンゼンともいう。 (CH3)2CHC6H5 で表わされる。沸点 153℃の無色透明液体。ベンゼンとプロピレンから硫酸あるいは塩化アルミニウム触媒として液相において,もしくはリン酸 (担体はケイ藻土など) を触媒として気相において,工業的に合成される。クメン法によってベンゼンとプロピレンからフェノールとアセトンを製造するときの中間体である。溶剤としても使われる。

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