アセトフェノン(読み)あせとふぇのん(英語表記)acetophenone

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセトフェノン」の意味・わかりやすい解説

アセトフェノン
あせとふぇのん
acetophenone

芳香族ケトンの一つ。メチルフェニルケトン、アセチルベンゼンともいう。天然にはラブダナム油やウミダヌキ香に含まれている。

 ベンゼンと塩化アセチルとのフリーデル‐クラフツ反応により合成する。天然物から分離するには、蒸留したのち結晶化させる。独特の甘い芳香をもつ無色の液体で、冷却すると固化する。水にはほとんど溶けないが、エタノールエチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒にはよく溶ける。濃硫酸と接触させると橙黄(とうこう)色となる。アルカリハロゲンを反応させるとハロホルムCHX3(Xはハロゲン)と安息香酸C6H5COOHを生成する(ハロホルム反応)。香料製造の原料に用いられる。以前はヒプノンの名で催眠剤に用いた。

[廣田 穰]


アセトフェノン(データノート)
あせとふぇのんでーたのーと

アセトフェノン
分子式C8H8O
分子量120.2
融点19.65℃
沸点202℃
比重1.028(測定温度20℃)
屈折率n)1.5335

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アセトフェノン」の意味・わかりやすい解説

アセトフェノン
acetophenone

フェニルメチルケトンともいう。化学式 C6H5COCH3 。ベンゼンと塩化アセチルから合成される。芳香をもつ無色の物質。融点 20℃,沸点 202℃。水にわずかに溶け,アルコール,エーテルなどによく溶ける。香料,合成原料に用いられる。

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