クライニー(その他表記)al-Kulaynī

改訂新版 世界大百科事典 「クライニー」の意味・わかりやすい解説

クライニー
al-Kulaynī
生没年:?-939

シーア派十二イマーム派の四大伝承収集者の一人。テヘラン近郊のレイからバグダードに赴き,そこで20年にわたり,直接の資料から34巻1万5000に及ぶイマームの正式な伝承,逸話を収集した《カーフィーの書》を著した。それらはシーア派伝承のなかでも,体系的に収集された最も初期の,したがって信憑性の高い文献である。この集成にはモッラー・サドラーをはじめ現代に至るまで,25種の注釈書があり,十二イマーム派の最重要文献の一つに数えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クライニー」の意味・わかりやすい解説

クライニー
al-Kulaynī, Abū Ja`far Muḥammad ibn Ya`qūb

[生]?
[没]940
イスラム教十二イマーム・シーア派の最も重要な伝承学者,神学者である。バグダードに 20年間滞在し,12人のイマームに関するおびただしい量の伝承を収集して『充足の源』 Uṣūl al-kāfīという浩瀚書物を残した。この書は,十二イマーム・シーア派信徒の信仰根拠の一つとして重視されている。

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世界大百科事典(旧版)内のクライニーの言及

【十二イマーム派】より

シーア派内の主要宗派。スンナ派の正統四法学派と並んで,第6代イマーム,ジャーファル・アッサーディクJa‘far al‐Ṣādiq(699ころ‐765)にちなみジャーファル法学派と呼ぶこともある。サファビー朝が同派を国教として以来,現代に至るまでイランにおいて支配的である。そのほか,イラク南部,ペルシア湾岸,レバノン南部,インド,パキスタンなどにも同派が分布する。アリーを初代イマームと認め,第2代ハサン,第3代フサインをたて,この男系子孫を第12代ムハンマド・アルムンタザルMuḥammad al‐Muntaẓarまでたどる。…

【十二イマーム派】より

…スンナ派と同様に聖典コーランに次ぐ第2の典拠としてハディースを認めるが,さらに各イマームの言行をまとめた聖言行録(アフバールakhbār)をも重視する。この派の権威ある聖言行録はブワイフ朝下に成立し,クライニーKulaynī(?‐939∥940)の《宗教の学問の大要al‐Kāfī fī ‘ilm al‐dīn》,イブン・バーブーヤIbn Bābūya(923ころ‐991)の《法学者の許に行かなくとも済む書Man lā yaḥḍruhu al‐faqīh》,トゥーシーṬūsī(995‐1067ころ)の《ハディースの検討Kitāb al‐istibṣār》および《イスラム法の仕上げKitāb al‐tahdhīb al‐aḥkām》の4書である。この聖伝に従い,法学者の解釈に余地を与えまいとする主張は17世紀のアフバール派にみられた。…

※「クライニー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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