日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クラウド型音楽配信サービス
くらうどがたおんがくはいしんさーびす
インターネットを通じた音楽配信サービスの一つ。楽曲データの購入から管理、携帯端末などへのダウンロード、またはストリーミング再生まで、インターネットに接続した状態で行うクラウドサービスである。従来の音楽配信サービスは、購入した楽曲をインターネットを通じてダウンロードし、その後の管理は自分のパソコンで行い、携帯デジタル音楽プレーヤーなどで聴くためにはあらかじめデータを端末に転送しておく必要があった。しかし、クラウド型音楽配信サービスでは、インターネットにつながっている携帯端末があれば、いつでも、どこでも、好きなものを聴くことができる。
2013年時点で提供されているクラウド型音楽配信サービスには、以下の3形態がある。(1)デジタルロッカーサービス。楽曲や音楽のデータを、インターネット上の管理サーバー(ロッカー)に預けておき、聴きたいときにダウンロードする方式。アマゾン社のAmazon Cloud Player(アマゾンクラウドプレーヤー)をはじめ、アップル社のiTunes in the Cloud(アイチューンズインザクラウド)、グーグル社のGoogle Music(グーグルミュージック)などがある。(2)オンラインジュークボックス型サービス。大量に登録されている楽曲リストのなかから、自分が聴きたい楽曲を選び、自由に聴く方式。ストリーミング再生が中心であり、有料契約と、広告がつく無料契約がある。有料の場合は毎月、定額を支払うのが一般的である。(3)インターネットラジオ型サービス。好みのラジオステーションを選び、ストリーミング再生で聴く方式。楽曲の購入履歴や興味の対象に関する情報をラジオステーション側に提供することで、配信される内容がパーソナライズされる。アップル社は2013年からiTunes Music store(アイチューンズミュージックストア)の履歴と連携させたインターネットラジオ放送、iTunes Radio(アイチューンズラジオ)を一部の国で無料提供している。アメリカやヨーロッパでは同様の有料サービスがいくつか行われており、アップル社の参入によって利用者の争奪戦が激しくなっている。
[編集部]