クラウドコンピューティング(読み)くらうどこんぴゅーてぃんぐ(英語表記)cloud computing

翻訳|cloud computing

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クラウドコンピューティング
くらうどこんぴゅーてぃんぐ
cloud computing

インターネット上にある複数のサーバーを利用して作業を行うサービス形態を表した概念の一つ。ローカルなパソコン上で行う作業や機能を、ほとんどすべてネット上で実現できるようにした環境をさす。単にクラウドともいう。ネットワークをイメージする図版で雲(クラウド)をよく使うことからきた表現で、2006年にグーグル社 CEO(最高経営責任者)であったエリック・シュミットEric Schmidt(1955― )がはじめてこのことばを使ったとされる。一般的にはブラウザを介して作業を行い、ユーザー側は提供されるサービス内容のみを意識することになり、バックボーンのサーバーの構成や機能などは気にする必要がない。このサービスを利用することで、アプリケーションインストール、更新、メンテナンス労力ハードウェアの維持管理に関する人的・物的資源、電力消費、設置場所の削減を図ることができる。企業の場合は、コストの低減化だけでなく必要な処理能力を適切なタイミングで利用できるようになり、経営の迅速化にも役だつ。

 クラウドコンピューティングはネットワークを利用した分散処理による、ハードウェアやソフトウェア、システム全般にわたる仮想化技術の形態や方向性を示す概念であるため、そこに含まれるシステムやビジネスは多岐にわたる。ユーザーに提供するサービスモデル(クラウドサービスと総称される)は、大きく三つに分けられる。

(1)ネットワークやデータセンターなどのインフラ関連を提供するIaaS(イアース)(Infrastructure as a Service)
(2)データベースやユーザー・インターフェースなどアプリケーションを利用するためのさまざまな基盤や開発環境などを提供する、プラットフォーム関連のPaaS(パース)(Platform as a Service)
(3)メールやスケジュール管理をはじめ、さまざまなウェブアプリケーションサービスを提供するASP(Application Service Provider)やSaaS(サース)(Software as a Service)。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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