クリトストマ(英語表記)Clytostoma

改訂新版 世界大百科事典 「クリトストマ」の意味・わかりやすい解説

クリトストマ
Clytostoma

ノウゼンカズラ科クリトストマ属のつる性常緑低木。葉は対生し,頂部の小葉片が細長いひげとなり,他の物体にからみ伸長する。花は漏斗状で,腋生(えきせい)か頂生の円錐花序につく。南アメリカに8種を産し,ツリガネカズラ属Bignoniaに含められることもある。温暖を好み,観賞用に栽植される種がある。クリトストマ・カルリステギオイデスC.callistegioides(Cham.)Buv.(和名ハリミノウゼン)はブラジル南部,アルゼンチン原産のつる性の常緑低木で,長さ数mに伸びる。葉は倒卵形もしくは長楕円形,緑色で光沢がある。花は頂生で花梗上に2個ずつつき,花冠は5裂して開き淡紫色で,濃い条があり,基部は筒状となり,黄色をおび紫色の条線がある。花期は4~5月ごろ。性質は強いが耐寒性はそれほどなく,温室で越冬させ,冬は5℃以上を保つ。つねに日当りでもよいが,真夏は明るい日陰でもよい。繁殖は挿木,実生にによる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリトストマ」の意味・わかりやすい解説

クリトストマ
くりとすとま
[学] Clytostoma callistegioides Bur.

ノウゼンカズラ科(APG分類:ノウゼンカズラ科)の常緑低木で、巻きひげでよじ登り性をもつ。南ブラジル、アルゼンチン原産で南アメリカに8種分布する。和名ハリミノウゼン。葉は対生し、長さ5~8センチメートルの小葉は倒卵形または長楕円(ちょうだえん)形で先は鋭くとがる。花は長さ7~8センチメートル、淡紫色で花柄上に2個ずつつき、筒状の先が5裂する。筒部は淡黄色地に紫色を帯びた条線がある。果実蒴果(さくか)、種子球形で翼のある刺(とげ)をもつ。温室栽培用とされ、実生(みしょう)や挿木で殖やす。属名はギリシア語のklytos(美しい)とstoma(口)とからなる。

[冨樫 誠 2021年10月20日]

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