日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリセリン酸」の意味・わかりやすい解説
グリセリン酸
ぐりせりんさん
glyceric acid
ヒドロキシカルボン酸の一つ。2,3-ジヒドロキシプロピオン酸の別名。不斉(ふせい)炭素原子をもっているので、光学異性体のD体、L体およびラセミ体(DL体)が存在する。ラセミ体のグリセリン酸はグリセリンを希硝酸により酸化すると得られる。いずれの光学異性体も、無色の粘性が大きいシロップ状の液体で固化せず、また蒸留すると分解する。化学式HOCH2CH(OH)COOH、分子量106.1。水、エタノール(エチルアルコール)、アセトンに溶けるが、エーテル、ベンゼンには溶けない。D体の水溶液は右旋性、L体の水溶液は左旋性を示すが、金属塩とすると旋光性の向きが逆になる。グリセリン酸のリン酸エステルは糖代謝の重要な中間体である。
[廣田 穰]
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