改訂新版 世界大百科事典 「グリニジ時」の意味・わかりやすい解説
グリニジ時 (グリニジじ)
Greenwich time
グリニジ平均時Greenwich mean timeが正式名称で,略号はGMT。現在は本初子午線(通称グリニジ子午線)に関する平均太陽時,つまり世界時の同義語として慣用されている。1972年以来新しく協定世界時が実用化され,現在世界の標準時はこの協定世界時を基にしている。協定世界時は原理的には世界時と異質のものではあるが,その時刻は世界時に近似するよう運用されている。そこで日常使用のように秒の精度を要しない場合には,これを世界時,またはグリニジ時と呼んでもよいことになっている。
しかし1925年以前には,グリニジ時は正午を0時として数え始める方式の天文学用の平均太陽時の名称であった。これに対し真夜中を0時として数え始める方式が日常生活に用いられ,これはグリニジ常用時(GCT)と呼ばれた。その後,グリニジ時の内容は入れかわり現在に至っている。グリニジ時の名称は運輸,通信,日常生活などで,世界時の代りに,いまなお根強く使われているが,国際天文学連合ではその歴史的な用法からくる混乱を考慮して,早急に別の適当な名称に改めるよう勧告している。
執筆者:飯島 重孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報