標準時(読み)ヒョウジュンジ

デジタル大辞泉 「標準時」の意味・読み・例文・類語

ひょうじゅん‐じ〔ヘウジユン‐〕【標準時】

国または地方単位とし、その内部共通に用いる時刻。一般に、協定世界時基準とし、これと1時間の整数倍だけ違う平均太陽時を採用している。世界時に対し、地方標準時と呼称することがある。→日本標準時
[補説]各地域の標準時は、協定世界時(UTC)より早いものを+、遅いものを-で表す。9時間早い日本標準時はUTC+9となる。多地域にわたる主な標準時には、次のようなものがある。
西部欧州標準時(UTCに同じ)
中部欧州標準時(UTC+1)
東部欧州標準時(UTC+2)
大西洋標準時(UTC-4)
東部標準時(UTC-5)
中部標準時(UTC-6)
山岳標準時(UTC-7)
太平洋標準時(UTC-8)

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精選版 日本国語大辞典 「標準時」の意味・読み・例文・類語

ひょうじゅん‐じヘウジュン‥【標準時】

  1. 〘 名詞 〙 一国または一地域に共通して用いられる地方平均太陽時。ふつうグリニッジ時一時間または三〇分の整数倍だけ異なった地方平均太陽時が用いられ、日本では東経一三五度の経線に基づいた日本中央標準時を用いる。
    1. [初出の実例]「明治二十一年一月一日より東経百三十五度の子午線の時を以て本邦一般の標準時と定む」(出典:本初子午線経度計算方及標準時の制(明治一九年)(1886))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「標準時」の意味・わかりやすい解説

標準時
ひょうじゅんじ

一つの標準となる子午線による地方時を選んで、国または地域が共通に使用する地方時をいう。地方平均太陽時は各地の子午線に準拠するものであり、経度15度について1時間の割合で違うが、各地点ごとにそれぞれの地方時を使用したのでは、交通・通信などの発達した現代社会では不都合であり、不便も生じる。標準時の制定は、1884年アメリカのワシントンで開催された「本初子午線并(ならびに)計時法万国公会」で決議された。その結果、日本においては1886年(明治19)7月12日勅令第51号をもって「本初子午線経度計算方及標準時」が公布された。

 標準時案を初めて提出したのはサンフォード・フレミングで、彼の案は、世界を経度15度ずつの24区に分け、その区分内は一つの標準時を用いるというもので、1883年1月18日からカナダ、アメリカで全土を経度15度の幅で五区に分けて五つの標準時を設定し実行されたことに始まる。この標準時設定に際しては、当時存在した数多くの本初子午線を廃し、万国一定の本初子午線を選定する必要があり、「グリニジ天文台子午儀の中点を通る子午線をもって本初子午線とする」というアメリカ案が全会一致で可決された。この本初子午線、つまり経度零度の子午線に関する平均太陽時が世界時であり、グリニジ時ともいわれる。

 本初子午線および経度15度ずつの24区分とした標準時案の採用決定により、日本では本初子午線と経度で135度を隔てる兵庫県明石(あかし)を通る子午線に基づく地方平均太陽時をもって日本標準時とし、1888年(明治21)1月1日から標準時を施行した。1896年には東経120度の子午線に基づく西部標準時が施行され、135度の日本標準時は日本中央標準時と改称されることになったが、1937年(昭和12)10月1日には西部標準時が廃止され、中央標準時が日本標準時となった。日本標準時は世界時に先だつこと9時間である。

[渡辺敏夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「標準時」の意味・わかりやすい解説

標準時 (ひょうじゅんじ)
standard time

太陽に対する地球の自転によって昼夜が生じ,われわれの生活はほとんどこのリズムによって律せられている。しかし,その時刻は子午線ごとに異なり,このままのばらばらな時刻を使用することは社会生活上不便である。そこで,ある国,またはある地域ごとに一定の子午線に関する時刻を法的に定め共用している。これが標準時である。この基準となる子午線はその地域のほぼ中央部を通り経度値が15°の整数倍のものが大部分である。つまりほとんどの標準時は世界時から1時間の整数倍だけずれているが,国によっては30分という端数差をもつものも使われている。日本はその東西のほぼ中心を通る東経135°の子午線の時刻を採用しているので,中央標準時は世界時からちょうど9時間進んだ時刻である。ロシアやアメリカのように東西にわたり広い区域を占める国々では,1時間ずつ次々にずれた複数の標準時を使用している。また,夏時間を採用している国もある。各標準時の境界線はその国その地域の政治的,または地形的条件などで決まり,経度でくぎった経帯時の区分とは大幅に異なる。なお,現在の標準時は正確にいえば世界時ではなく協定世界時が基礎となっている。つまり協定世界時を各国各地域のそれぞれ基準とする子午線の経度値(東経を正とし15°当り1時間とする)だけ進めたものである(表参照)。
時差
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百科事典マイペディア 「標準時」の意味・わかりやすい解説

標準時【ひょうじゅんじ】

国家または地方単位で共用できるよう定めた時刻。15°の倍数(またはそれに7.5°を加える)の経度をもつ子午線における地方時をその付近の標準時とする。したがってグリニッジ時と整数時間(または半整数時間)だけ異なる。東西に広い米国やロシアでは数個の標準時が用いられる。→日本標準時
→関連項目時刻地方時

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「標準時」の意味・わかりやすい解説

標準時
ひょうじゅんじ
standard time

地球上の各地が,それぞれの経度ごとに地方時を設けるのは不便なので,各地方ごとに特定の子午線を基準にとり,世界時 UTと整数時間 (または半整数時間) 差の時刻を採用する。これをその地方の標準時という。日本では東経 135°における地方時を標準時として採用している。これは世界時より9時間早い。東京の地方時は日本標準時よりも 19分早い。

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占い用語集 「標準時」の解説

標準時

ある国または地域が共通で使っている地方時のこと。世界標準時との混乱を避けるため、標準時を地方標準時と呼ぶこともある。

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世界大百科事典(旧版)内の標準時の言及

【時刻】より

… 太陽の南中時刻は各地で異なっているので,その場所,あるいはそこを中心とした限られた地域で用いられる時刻を地方時と呼ぶ。日本では東経135゜の地方時を標準時として使用している。全世界の地方時の基準とされているのはグリニジ子午線での地方時である。…

※「標準時」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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