日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリムケ」の意味・わかりやすい解説
グリムケ(姉妹)
ぐりむけ
姉セアラSarah Moore Grimké(1792―1873)、妹アンジェリーナAngelina Emily Grimké(1805―1879) アメリカの奴隷解放・女性解放の運動家。サウス・カロライナ州のプランター(奴隷所有者)の娘だが、南部の奴隷制を嫌ってフィラデルフィアに出、クェーカー教徒として活動した。女性が公衆の前で演説することへの非難や嘲笑(ちょうしょう)は激しかったが、ニューヨークやボストンなどでも奴隷解放を訴え、その雄弁が認められて、妹は1838年にマサチューセッツ州議会でも演説を行っている。彼女らの主張は必然的に女性解放にも及び、奴隷制廃止運動のなかでも男性としばしば対立した。妹は1838年に同志セオドール・ウェルドTheodore Dwight Weld(1803―1895)と結婚、男女平等の生活を実践し、姉も同居した。姉妹は、奴隷制擁護の神学や女性の社会活動非難の主張に対して多数の反論を書いている。
[白井尭子]
『谷中寿子著「グリムケ姉妹――サザンベルのアボリショニスト」(『アメリカ研究』第16号所収・1982・アメリカ学会)』