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奴隷制廃止運動 どれいせいはいしうんどう Abolition Movement

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

奴隷制廃止運動
どれいせいはいしうんどう
Abolition Movement

主としてアメリカ新大陸における黒人奴隷の即時解放を要求するさまざまな運動。単に奴隷制の西方への拡大阻止を要求するグループとは区別される。 16世紀以来新大陸に拡大した植民地奴隷制に対して,18世紀初めから人間尊重,人類平等の観念の普及とともにようやく批判が高まり,19世紀に入って人道主義的奴隷制廃止論が盛んになるにつれて,奴隷制廃止の具体的成果がみられるようになった。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

奴隷制廃止運動
どれいせいはいしうんどう
Abolitionist Movement

アメリカ合衆国の奴隷制反対運動のなかでも、ギャリソンの『リベレーター』(解放者)発刊(1831)を画期に、奴隷制度の「即時、全面、無条件」の廃止を基本理念として急速に北部社会で展開された急進的改革運動。その担い手たちをアボリショニストAbolitionist(廃止論者)とよび、彼らの主張をアボリショニズムAbolitionism(廃止主義)という。
 1830年代の廃止論者の多くは、当時の信仰復興運動の影響を受け、奴隷制問題を経済問題や政治問題とみるよりは、道徳上の問題として認識していた。このため、彼らは、奴隷制廃止の手段として暴動などの武装蜂起(ほうき)や政治活動を退け、奴隷制度の悪に対する罪の意識を喚起し、人間性回復の「精神革命」を引き起こすことによってこれを消滅させるというモラル・スエージョンmoral suasion(道徳的説得)の立場をとった。
 廃止論者たちは、1832年には早くも自らの組織化に成功し、ギャリソンを中心に、ボストンでニュー・イングランド奴隷制反対協会を創設した。ついで33年、最初の全国組織であるアメリカ奴隷制反対協会がフィラデルフィアで結成された。これらの組織には多数の廃止論者が結集したが、ギャリソン、ウェンデル・フィリップス、タッパン兄弟、セオドア・ウェルド、イライジャ・ラブジョイ、ゲリット・スミスなどに混じって、ルクレシア・モット、グリムケ姉妹らの女性も積極的に運動に参加し、定期刊行物の発行、奴隷制反対文書の配布、講演会や大衆集会の開催、請願書の署名集めなどの宣伝、啓蒙(けいもう)活動に従事した。
 この運動には、また多くの黒人の廃止論者が、さまざまな困難を排して、当初から率先して参加した。たとえば、アメリカ奴隷制反対協会が結成時に採択した「所感宣言」の署名者62名のなかには、ジェームズ・バーベイドス、ロバート・パービス、ジェームズ・マックランメルの名前がみえるし、協会理事にもこれら3名を含む6名の黒人が任命されている。なかでも、のちにもっとも大きな役割を果たすことになったのが、フレデリック・ダグラスである。
 廃止論者たちは至る所でその活動を妨害されたばかりか、しばしば身の危険にもさらされた。事実、ギャリソンは1835年にボストンで暴徒に襲われ、町中を引きずり回されたが、その2年後にはラブジョイがイリノイ州のオルトンで殺されるというできごとが起こった。このような彼らの命がけの活動にもかかわらず、アメリカ奴隷制反対協会は40年のニューヨーク大会で、直接には婦人権問題を契機に、あくまでも道徳的説得を固持するギャリソン派と、政治行動を主張するタッパンらの反ギャリソン派とに分裂した。後者は、ただちに協会を脱退して別組織をつくり、さらにその多くがジェームズ・バーニーを党首にして、オルバニーで自由党を結成した。こうして、廃止論者の闘いはその後も執拗(しつよう)に続けられたが、運動の全般的傾向は、南北間の政治的対立の激化とともに、しだいに政治的廃止主義が主流を占めるようになった。[高橋勢都子]
『Louis Filler The Crusade Against Slavery, 1830―1860 (1960, Harper & Row) ▽Ronald G. Walters The Antislavery Appeal;American Abolitionism after 1830 (1976, Johns Hopkins University Press) ▽Benjamin Quarles Black Abolitionists (1969, Oxford University Press) ▽Lawrence J. Friedman Gregarious Saints;Self and Community in American Abolitionism 1830―1870 (1982, Cambridge University Press)』

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