改訂新版 世界大百科事典 「グリムドイツ語辞典」の意味・わかりやすい解説
グリム・ドイツ語辞典 (グリムドイツごじてん)
Deutsches Wörterbuch von Jacob Grimm und Wilhelm Grimm
ドイツのグリム兄弟によって始められた膨大なドイツ語大辞典(1854-1960)。全16巻32冊。兄弟の生前にはFの途中(Frucht)までしか進まず,遺業は代々の学者に引き継がれたが,1909年以来プロイセン科学アカデミーの事業となった。第2次大戦後は東西に分かれた編集所が政治的立場を超えて協力し,立案(1838)後120年余を経て大辞典は一応の完結を見た。本書は16世紀以降のドイツ語を見出し語とし,語形,語義,用法の変遷を詳細に後づけているところに特徴がある。語彙と引例の豊富さ,解説の詳しさは他の追随を許さず,ことばの宝庫の観があるが,その歴史主義と非実用性はしばしば批判の的となり,内容上のアンバランスもまた欠点の一つになっている。あまりにも古くなったA~Fの部分については,完成に先立って東西両編集所が分担して改訂の仕事を進め,1965年以来改訂版が分冊刊行中である。
執筆者:橋本 郁雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報