改訂新版 世界大百科事典 「グルジア人」の意味・わかりやすい解説
グルジア人 (グルジアじん)
Gruziny
ザカフカス地方の大カフカス山脈南西斜面と黒海に挟まれる地方に住む民族。自称はカルトベリKartveli。人口398万(1989)。西洋古典にみえるコルキス人,イベリア人の子孫で,言語は南カフカス諸語カルトベリ語派に属し,人種は地中海型・アルメノイド型特質を示す。北方遊牧民,ギリシア,ローマ,イラン等の中間にあったので複雑な文化的影響を受けた。4世紀にキリスト教化したが,国土は7世紀以後しばしばムスリム(イスラム教徒)の侵入を被り,16世紀からロシア併合まではトルコとイランによって東西に分割された。そのため東グルジアでは,文学・美術等にイラン文化の影響が強く,イラン内地で軍人として活躍する者も少なくなかったが,イスラムへの改宗はさほど進まなかった。一方,西グルジアではオスマン帝国治下にイスラム化が進行し,現在も黒海に面したアジャリア地方ではムスリム住民がアジャリア自治共和国をつくっている。
執筆者:北川 誠一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報