日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルメノイド」の意味・わかりやすい解説
アルメノイド
あるめのいど
Armenoid
コーカソイド(白色人種系)の枝となる一亜人種。類アルメニア人種という意。小アジア(アナトリア)のトルコ、シリア、パレスチナ一帯に集中し、一部はイラン、イラク、バルカン地方にも分布する。共通の特徴として、著しく短頭で、頭頂はとがり、後頭は扁平(へんぺい)で、額は広く、傾斜している。この独特な頭形は、その揺り籠(かご)によって幼児を布で動けなくするからつくられるのだと一般に考えられているが、アメリカ育ちの彼らの子孫もやはり同じ頭形をしていることから、人工変形説には疑問がある。鼻はかぎ鼻で大きく、肉厚である。横顔は鼻先から額まで一直線に続くようにみえる。唇は中程度の厚さで、下唇は軽く反転する。皮膚はオリーブ色。毛髪や虹彩(こうさい)は暗色。ひげも体毛も豊富で、眉毛(まゆげ)は濃く、ときには左右が連続する。身長は中程度で、頑丈。シュメール、バビロン、アッシリアなどの彫像や絵画には彼らと身体的特徴の似た人物が登場する。
[香原志勢]