改訂新版 世界大百科事典 「グールー」の意味・わかりやすい解説
グールー
Pierre Gourou
生没年:1900-99
フランスの人文地理学者。パリのコレージュ・ド・フランスやハノイ,ブリュッセル等の大学で教授を歴任した。彼の学問は,旧フランス領インドシナ研究から始まり,1930-40年にかけてアジアに関する多くの著書を出版した。とりわけソンコイ川デルタ全域を扱った大著《トンキン・デルタの農民》(1936)は彼の名を世界的なものにした。第2次大戦後はアフリカ研究に打ち込み,その集約はアフリカ地誌の最高水準を示すといわれる《アフリカ》(1970)にまとめられた。さらに中・南米などの研究成果は《熱帯アメリカとオーストラリア》(1976)に見られ,第三世界全般についての人文地理学方法論を確立した。その学問的影響は,本国はもとより,各地のフランス語を解する人々すべてに及んでいる。日本でも戦前に《トンキン・デルタの農民》の一部,戦後,《熱帯の地理》が翻訳・出版された。
執筆者:菊池 一雅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報