朝日日本歴史人物事典 「ケスラー」の解説
ケスラー
生年:1860.4.12
明治期に来日したドイツ・ジーメンス社の電気技師。リヒテンシュタインに生まれ,ドイツ,スイスで電気工学などを学んだのち1883年にジーメンス社に入社。明治20(1887)年から41年まで日本に駐在し,同社の対日事業の責任者であった。また,日本最初の水力発電所を足尾に建設するなど,草創期の日本の電気事業に大きな役割を果たした。営業面にも長じた独断肌の人物で,新規市場の開拓には適任者だったといえる。離日後も,ドイツ本社重役として対アジア事業の立案に参画し,「シーメンス事件」の処理にもかかわっている。<参考文献>「史伝ヘルマン,ケスレル氏」(『電気之友』217号),百渓禄郎太『ヘルマンケスレルの伝』
(竹中亨)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報