日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケプラー186f」の意味・わかりやすい解説
ケプラー186f
けぷらーいちはちろくえふ
Kepler-186f
太陽以外の恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)内に初めて発見された地球サイズの系外惑星。系外惑星は、数百のレベルで発見されているが、当初はドップラーシフト法の技術的限界もあり、ホットジュピターのように母星のごく近くを周回する巨大ガス惑星の発見が主であった。しかしケプラー宇宙望遠鏡とトランジット法を使い、数多くの系外惑星候補を探索した結果、発見に至った。
ケプラー186fが周回する母星であるケプラー186は、はくちょう座にある赤色矮星(わいせい)で、地球からの距離は約500光年である。ケプラー186fは、ケプラー186を周回する五つの惑星の一番外側のもので、公転周期は約130日、軌道長半径は0.356AU(天文単位)、大きさは地球半径の1.1倍程度と考えられている。母星は、放射熱量が太陽の半分程度の赤色矮星であることから、ケプラー186系のハビタブルゾーンは太陽系に比べて、かなり内側であると想定され、その外側の端にケプラー186fがあると思われる。ケプラー186fの質量と組成はわかっていないが、地球と同じような組成(鉄と岩石)であり大気が存在すれば、水を保持する地球型惑星の可能性があり、地球外生命も存在するかもしれないと考えられる。
[編集部 2023年10月18日]