日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲッダ」の意味・わかりやすい解説
ゲッダ
げっだ
Nicolai Gedda
(1925―2017)
スウェーデンのテノール歌手。ストックホルム生まれ。同地その他で学んだのち、1952年ストックホルム王立歌劇場でデビュー。ただちにその才能が注目され、1953年以後はミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座などに次々に出演。彼の主要な活躍の場となるメトロポリタン歌劇場には1957年に『ファウスト』を歌ってデビューした。以後、世界屈指のリリック・テノールとして活躍。甘美な声質をもちつつも、正確な技巧、気品に満ちた表現、9か国語に堪能という語学力を備え、古典から現代に至る多数のオペラに出演、さらに宗教音楽の独唱者としての活躍も盛んであった。デビュー直後から多数の録音を行ってもいる。1975年(昭和50)初来日。彼の自伝『私の生涯と芸術』(1980)は英語版も刊行され、ほかの歌手やカラヤンなどの指揮者との交友が紹介されている。
[美山良夫]
『ヘレナ・マテオプーロス著、岡田好恵訳『偉大なるテノールたち――カルーソーから現代まで』(2002・アルファベータ)』▽『Nicolai Gedda ; My Life and Art(1999, Amadeus Press)』