日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラヤン」の意味・わかりやすい解説
カラヤン
からやん
Herbert von Karajan
(1908―1989)
オーストリアの指揮者。広いレパートリーに加えて精力的な活動を誇り、また社会的な注目を浴びる言動が多く、20世紀後半を代表する演奏家の一人と目される。4月5日ザルツブルクに生まれる。生地およびウィーンで学び、1927年ドイツのウルム歌劇場指揮者になったのを振り出しに、アーヘン歌劇場、ベルリン国立歌劇場の指揮者を歴任。第二次世界大戦後、公職追放されたが、47年活動を再開、急速に名を高めた。55年、フルトベングラーの後任としてベルリン・フィルハーモニーの第4代常任指揮者、翌56年終身芸術監督に就任、以来西欧の音楽界の枢要ポストを一手に収めたため、「帝王カラヤン」とよばれるに至った。54年(昭和29)N響に客演のため初来日。以後、59年のウィーン・フィルを除けば、すべてベルリン・フィルと9回来日。89年春の叙勲では、勲二等旭日(きょくじつ)重光章を受章している。後進の育成にも力を注ぎ、69年には「ヘルベルト・フォン・カラヤン財団」を設立、若い指揮者発掘のためカラヤン・コンクールを新設した。89年7月16日没。
[岩井宏之]
『F・エンドラー記、吉田仙太郎訳『カラヤン自伝を語る』(1989・白水社)』▽『R・C・バッハマン著、横田みどり訳『カラヤン――栄光の裏側に』(1985・音楽之友社)』