ゲーテとシラーの霊廟(読み)ゲーテとシラーのれいびょう

世界の観光地名がわかる事典 「ゲーテとシラーの霊廟」の解説

ゲーテとシラーのれいびょう【ゲーテとシラーの霊廟】

ドイツ中央部、チューリンゲン州の州都エアフルト(Erfurt)の東約20kmに位置するワイマール(Weimar)にある霊廟(墓所)。ここにドイツを代表する文豪ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe、1749~1832年)とシラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller、1759~1805年)が葬られている。ワイマールは、神聖ローマ帝国時代のザクセン=ワイマール公国の首都だったところである。この町は当時、ドイツ古典主義の中心地としてゲーテやシラーのほか、ブラームスやリストなどの音楽家が活躍していた。ゲーテは、この公国の宰相として仕えたこともある。ゲーテとシラーは、1825~1827年にかけて建築家クレメンスによって古典主義様式の建築物としてつくられた大公家の霊廟に葬られた。半地下の納骨堂への階段を下りると、正面にゲーテの棺、隣にシラーの棺がある。ゲーテは1832年の死去後、すぐにこの霊廟に納められたが、シラーの遺骸が安置されるまでには紆余曲折があった。シラーは1805年に40歳代半ばで死去すると、同市内の共同墓地に埋葬され、その墓は荒れ果てた。シラーを改めて霊廟に埋葬するため、26体の遺骸が掘り出され、デスマスクと照合してシラーの遺骸を特定したといわれている。このため、真贋(しんがん)論争が続き、1854年の再調査で改めて発掘が行われ、改めてこれが本物だとするシラーの遺骸が見つかった。この霊廟にシラーの2つの棺があるのは、こうした経緯によるものといわれる。

出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報

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