コウモリソウ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コウモリソウ」の意味・わかりやすい解説

コウモリソウ(蝙蝠草)
コウモリソウ
Cacalia hastata var. farfaraefolia

キク科の多年草。北半球温帯に広い分布をもつ母種 C. hastataの1変種とされる。本州中央部と屋久島に分布し,深山の薄暗い樹下に自生する。高さ 60~90cmに達し,葉は三角状ほこ形で,長さ 10~16cm,横幅のほうがさらに長い。縁は大小ふぞろいの歯牙状鋸歯をもつ。柄は葉身の3分の1ほどの長さで翼はなく,この点が同一母種の別変種とされるヨブスマソウ (夜衾草)と異なる。秋,茎の上部が分枝し,帯紫色の管状花から成る頭状花を多数円錐状につける。痩果は白い冠毛をもっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウモリソウ」の意味・わかりやすい解説

コウモリソウ
こうもりそう / 蝙蝠草
[学] Parasenecio maximowiczianus (Nakai et F.Maek. ex Hara) H.Koyama
Cacalia maximowicziana Nakai et F.Maek. ex Hara

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は高さ30~70センチメートル、ジグザグ状となることが多い。葉は三角状矛形で、柄があって、互生し、葉柄に葉身が沿下して翼状となり、翼を広げたコウモリを思わせる。8~10月、少数の頭花をやや散房状の花序につける。葉柄の翼がよく発達した変種をオクヤマコウモリという。針葉樹の林床に生え、本州の関東地方から紀伊半島に分布する。中部地方以北の本州の日本海側には草丈が2メートルに達する近縁のイヌドウナが分布する。

[小山博滋 2022年2月18日]

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