ヨブスマソウ(読み)よぶすまそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨブスマソウ」の意味・わかりやすい解説

ヨブスマソウ
よぶすまそう / 夜衾草
[学] Parasenecio robustus (Tolm.) Kadota
Cacalia hastata L. subsp. orientalis Kitam.

キク科(APG分類:キク科)コウモリソウ属の多年草。茎は直立し、高さ2メートルに達する。葉は互生し、三角状矛形で長さ、幅とも約40センチメートルと大形で、翼のある葉柄がある。7~9月、茎頂に大形の円錐(えんすい)花序をつくり、多数の頭花をつける。頭花は約13個の白色の管状花からなる。総包は長さ約1センチメートル、総包片は8枚で、紫色を帯びる。痩果(そうか)は無毛で長さ6~8ミリメートル、同長の冠毛がある。林縁や草地に生え、北海道、および南千島、樺太(からふと)(サハリン)、朝鮮半島、中国東北部に分布する。

 コウモリソウ属のなかでも変異に富む種で、いろいろな地方変種が知られており、東北地方にはオクヤマコウモリ、イヌドウナ、コバナノコウモリソウ、ハヤチネコウモリが分布する(現在ではそれぞれ別種とみなされている)。同地方では、これらの若い苗を山菜とする。コウモリソウは本種にきわめて近い種と考えられている。

[小山博滋 2022年5月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨブスマソウ」の意味・わかりやすい解説

ヨブスマソウ(夜衾草)
ヨブスマソウ
Cacalia hastata var. orientalis

キク科の多年草。北半球の温帯から冷温帯に広く分布する母種 C. hastataの1変種とされ,中部以北の本州と北海道,サハリンなどに分布する。同一母種の別変種コウモリソウ (蝙蝠草)に比べてはるかに大型で,葉柄には鰭のような翼が目立つ。深山に多く,茎は高さ 2mに達する。葉は互生し長さ 20~30cm,横幅はさらに広い三角形状で頭部はとがり,基部は楔形で,左右に1つずつ大きな突出片をもっている。夏から秋にかけて,茎の上部に大きな円錐花序を生じ,白色の管状花でできた頭状花をまばらにつける。東北地方では若い葉を食べる。

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