こびる(読み)コビル

デジタル大辞泉 「こびる」の意味・読み・例文・類語

こ・びる

[動バ上一][文]こ・ぶ[バ上二]
古くなる。年を経る。ふるびる。
「百年二百年にては花も―・びぬものぞ」〈中華若木詩抄・上〉
才知がすぐれる。
少し―・びたる者にて、学力がくりきあれば」〈浮・永代蔵・五〉
大人びる。こましゃくれる。
十歳から―・びて家の事を治めたが」〈蒙求抄・五〉
少し変わっている。しゃれている。
「是は―・びたる言葉や」〈咄・露がはなし・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「こびる」の意味・読み・例文・類語

こ・びる

  1. 〘 自動詞 バ上一 〙
    [ 文語形 ]こ・ぶ 〘 自動詞 バ上二段活用 〙
  2. (ふる)びる。年を経る。また、古びて趣がある。特に茶道などでは、侘びに通じる精神性があることにいう。
    1. [初出の実例]「夜雨絵〈略〉絵おもひのほかにこひぬゑにて候、一段こひたるやうにてこひぬ絵なり」(出典:宗及茶湯日記(他会記)‐永祿一二年(1569)三月二三日)
  3. 教養を積む。学識や才知がある。知識や経験が豊富である。
    1. [初出の実例]「史大夫朝親といふもの有けり〈略〉よのつねならず、才こびたる者也けり」(出典:十訓抄(1252)一)
  4. 大人びる。こましゃくれる。
    1. [初出の実例]「十歳からこびて家の事を治めたか成人した人のやうにあったそ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)五)
  5. 気がきいている。しゃれている。ひねった感じである。また、気どっている。もっともらしい様子である。
    1. [初出の実例]「ミナヒト ワキマエン タメナレバ cobitaru(コビタル) コトバヲ ノゾキ セワニ ツヅリテ ヲク モノナリ」(出典:信心録(ヒイデスの導師)(1592)序)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のこびるの言及

【間食】より

…正式の食事と食事の間にとる食事のこと。その時間や正式の食事との関係で,〈おやつ〉〈おちゃ〉〈こびる〉〈やしょく〉などと呼ぶ。古くから1日2度が正式の食制とされていたため,ふつうは朝食と夕食との間にとる食事をいった。…

※「こびる」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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