日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロンビア特別区」の意味・わかりやすい解説
コロンビア特別区
ころんびあとくべつく
District of Columbia
アメリカ合衆国の首都。正式名称ワシントン・コロンビア特別区で、ワシントンDC(Washington, D. C.)と略される。いずれの州にも属さない、連邦直轄特別区である。面積174平方キロメートル。北部、東部、南部の境界はメリーランド州に接し、西部はポトマック川が境界となり、バージニア州に接する。
1791年、初代ワシントン大統領は、ポトマック川に臨む1辺10マイル(16キロメートル)の正方形の土地を連邦特別区にすることを決め、フランス人ピエール・ランファンに首都の建設計画を作成させた。ランファンの計画は、碁盤目状街路に、連邦議会議事堂、ホワイトハウスなどを中心とする放射状街路を組み合わせ、さらに各所に広場や公園を設けたものであった。東西に走る道路にはアルファベットが、南北に走る道路には数字が、さらに放射状に走る道路には各州の名がつけられた。1802年、コロンビア特別区にワシントン市が成立したが、両者の範囲は一致したものではなかった。「一八一二年戦争」の際、1814年にイギリス軍に一時占領され、国会議事堂、大統領官邸や官庁の建物などが焼かれた。46年にポトマック川右岸のバージニア部分はバージニア州に返還され、78年にジョージタウンがワシントン市に編入されたことにより、コロンビア特別区とワシントン市の範囲は同じものとなった。
[菅野峰明]