日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンチャロフスキー」の意味・わかりやすい解説
コンチャロフスキー
こんちゃろふすきー
Пётр Петрович Кончаловский/Pyotr Petrovich Konchalovskiy
(1876―1956)
ロシアの画家。パリのアカデミー・ジュリアン(1897~98)とペテルブルグの美術アカデミーに学ぶ。初め「ダイヤのジャック」に属し、厚塗りの、かなり強烈な静物画を描いていた。『竜舌蘭(りゅうぜつらん)』(1916・トレチャコフ美術館)はその時代の代表作である。肖像画『G・ヤクーロフの肖像』(1916・トレチャコフ美術館)ではフォルムを抽象化しながらも、鋭い性格描写を追究している。「ダイヤのジャック」派の人々、レントゥーロフ、クプリーン、ファリク、マシコフらは概してソビエト時代に不遇であったが、コンチャロフスキーは比較的恵まれていた。だが、全面的に評価されるようになったのは第二次世界大戦後の「雪どけ」(冷戦緩和)以降のことであった。
[木村 浩]