日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーマック」の意味・わかりやすい解説
コーマック
こーまっく
Allan MacLeod Cormack
(1924―1998)
アメリカの物理学者。南アフリカ共和国のヨハネスバーグに生まれる。ケープ・タウン大学で工学と物理を学び、1947年イギリスに留学、ケンブリッジ大学の研究生となった。1950年南アフリカに戻り、ケープ・タウン大学の講師、およびグルート・シューア病院の医療物理学者となった。1956年アメリカに渡り、ハーバード大学で研究生活を送ったのち、1957年にタフツ大学の物理学助教授となり、1964年教授に昇格、1968年から1976年まで物理学部の部長を務めた。1966年にアメリカの市民権を獲得している。
X線を用いた医療技術の研究を行い、1963年から1964年にかけて重要な論文を発表した。この論文は、生体組織を透過するX線の吸収分布について数学的に解析した理論で、多方向から得られる一次元の投影から二次元の断面の分布が復元できることを示していた。これはCT(コンピュータを使用したX線断層撮影法)技術に理論的基礎を与えるものであった。コーマックとは独立にCTを開発したハウンズフィールドとともに1979年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部 2018年7月20日]