日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴボウアザミ」の意味・わかりやすい解説
ゴボウアザミ
ごぼうあざみ / 牛蒡薊
[学] Cirsium dipsacolepis Matsum.
キク科(APG分類:キク科)の多年草。根を食用とする目的で栽培される。本州、四国、九州に自生するモリアザミを栽培化したものと考えられる。高さ1~2メートルになり、葉にはアザミ特有の切れ込みがあるが、変異が多く、丸葉のものもある。夏、茎頂がよく分枝して、紫紅色花をつける。根は直根で、長さ1メートルほどにもなるが、味と加工の点から、30~40センチメートルのものを収穫する。日当りのよい山地でよく育ち、クワ畑の間作にもされる。6月ころから播種(はしゅ)し、10月下旬から翌春にかけて収穫する。根を食用とするためには、米糠(こめぬか)を入れた水に1週間ほど浸(つ)けてあく抜きをし、赤みそ、麹(こうじ)、塩、しょうゆなどで漬け込む。歯切れがよく、独特の香りがある。産地により菊牛蒡(きくごぼう)(岐阜、愛知)、三瓶(さんべ)牛蒡(島根)、白山(はくさん)牛蒡(金沢)、山牛蒡(長野ほか)などと称する。連作障害(黒あざ病)に弱いため、産地は固定していない。山菜の郷土名産品で「山牛蒡」の漬物と称されるものには、このゴボウアザミのほかにハマアザミやフジアザミがある。
[星川清親 2022年2月18日]