ヤマゴボウ(読み)やまごぼう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマゴボウ」の意味・わかりやすい解説

ヤマゴボウ
やまごぼう / 山牛蒡
[学] Phytolacca acinosa Roxb.
Phytolacca esculenta Van Houtte

ヤマゴボウ科(APG分類:ヤマゴボウ科)の多年草。全草無毛。茎は円柱形で肥厚し、高さ1.5メートルに達する。葉は互生し、楕円(だえん)形または卵状楕円形で、長さ10~20センチメートル、中央がもっとも広く、先端は急に鋭くとがる。夏から秋、枝から約15センチメートルの花茎を直立して、短い柄のある総状花序をつくり、白色花を密に開く。花は短い柄があり、花被片(かひへん)は5枚、卵形で先は丸い。雄しべは8本、葯(やく)は淡紅色。雌しべは淡緑色で、8個の心皮が輪状に並ぶ。果穂は直立し、液果は宿存萼(がく)をつけたまま黒紫色に熟し、8個の分果が輪状に並ぶ。種子黒色で1個。中国原産で、栽培される。名は、根がゴボウに似ることによる。根は漢方で利尿薬に用い、若葉食用とする。根に毒を含む。山牛蒡とよんで食用にするのは本種とは別物で、キク科アザミ属のゴボウアザミモリアザミである。北アメリカ原産の近縁ヨウシュヤマゴボウに似るが、ヨウシュヤマゴボウは、花序が果実期に垂れ下がり、心皮が5個なので区別できる。ヤマゴボウ科の多くは熱帯に分布し、約17属約120種ある。

[小林純子 2021年2月17日]

 APG分類では世界に約5属33種がある。ヤマゴボウ科に含まれていたジュズサンゴ属などはAPG分類ではジュズサンゴ科として独立した。

[編集部 2021年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマゴボウ」の意味・わかりやすい解説

ヤマゴボウ(山牛蒡)
ヤマゴボウ
Phytolacca esculenta; Indian poke

ヤマゴボウ科の多年草。中国の原産で,台湾に自生する。本州以南に帰化し,普通は人家に栽培され,ときに逸出して野生化している。全体に大型で毛がない。茎は円柱形,高さ 1m内外,緑色をしている。葉は大きな楕円形で先はとがり,全縁で無毛,柄がある。6~9月に,葉に対生する総状花序を出し,柄のある白い花を密につける。花弁はなく,萼は5個。果穂は直立し,液果は扁球形で黒紫色に熟する。葉は食用とし,根は薬用にするが有毒植物である。本種と近縁で北アメリカ原産のヨウシュヤマゴボウ P. americanaは大型多年草で高さ 1.5mにもなり,茎が紅紫色をしている。夏に咲く総状花序にはややピンクを帯びた5枚の白い萼片と,10本のおしべのある小花が密生し,熟すると紫紅色の扁平球形の果実をつける。この果穂は下向きに垂れ下がるのが特徴である。東京をはじめ都会地周辺に帰化していて,ごく普通に見かけるのはこの種である。

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