日本大百科全書(ニッポニカ) 「サツマフジ」の意味・わかりやすい解説
サツマフジ
さつまふじ
[学] Daphne genkwa Sieb. et Zucc.
ジンチョウゲ科(APG分類:ジンチョウゲ科)の落葉低木。フジモドキまたはチョウジザクラともいわれる。中国、朝鮮半島南部に分布し、日本へは江戸初期に入っていた。高さ約1メートルになり、枝は細く多数に分枝する。葉は普通は対生し、質は薄く、長楕円(ちょうだえん)形、長さ3~4センチメートル、全縁で、若葉は裏面に淡黄色の絹毛を密生し、成葉では葉裏の脈上に残る。4月、葉の出る前に淡紫紅色の花が3~6個、短い小枝に集まって開く。萼(がく)が花弁状にみえ、上部が4裂し、下部は長さ約1.5センチメートルの細い筒形で細毛がある。果実は秋に白い肉質になる。まれに観賞用に植えるが有毒である。つぼみを漢方で去痰(きょたん)、利尿に用いる。
[小林義雄 2020年10月16日]