ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サディア・ベン・ヨゼフ」の意味・わかりやすい解説
サディア・ベン・ヨゼフ
Saadia ben Joseph
[没]942. バビロニア,スーラ
中世バビロニアのユダヤ人の哲学者,文学者。アラビア名 Sa`id al-Fayyumi。その生涯の大半は当時ユダヤ教内部に興ったカライズム,すなわちラビ法やタルムード法を拒否しモーセの律法だけを規範とする厳格主義に対し,正統 (ラビ派) ユダヤ教の擁護に費やされたが,その他広範な著作活動により,文化的,政治的にも当時バビロニアにおける最高の指導的人物であった。カライズムとの論争のための旧約聖書釈義,旧約のアラビア語初訳,律法論など多くの著作があるが,その名を不朽にしているのは『信念と見解の書』 Sefer ha-emunoth weha-deoth (933) である。彼はこの書で,ヘレニズムの影響下に正統ユダヤ教の神観を体系化し,ユダヤ神学に初めて形而上学的基礎づけを行なった。
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