ヒンクマール(その他表記)Hinkmar

改訂新版 世界大百科事典 「ヒンクマール」の意味・わかりやすい解説

ヒンクマール
Hinkmar
生没年:806ころ-882

ランス大司教(845-882)。フランス語ではHincmar。その性狷介で教皇や王の管区内への介入を排し,大司教の権威の絶対化に努め,かつ成功した。彼はロタール派の前任者エボEbo(?-851)の罷免の後に選出されたため,とくにエボの復位の試みを妨げ,エボの叙任によって所属司教となった者の叙任を取り消し,彼の甥のラン司教ヒンクマールをも,大司教に対する不服従のゆえに罷免した(871)。西フランク王カール2世禿頭王には概して忠誠であったが,王のあらゆる介入を拒否し,しかもその宮廷を牛耳った。フランス王の塗油戴冠における〈ランスの特権〉も彼が主張したものである。彼はまた教義上,ゴットシャルクGottschalk(803ころ-869)の預定救霊説や三位一体に関する論説異端と断じた。《サン・ベルタン年代記》の861-882年の項は,彼の記述である。882年にランスはノルマン人の攻撃をうけ,彼は大司教座をエペルネーEpernayに移して同地で没した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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